古い腕時計の話

オーバーホールに出していた古い腕時計が戻ってきた。
ほぼ半世紀前のセイコーロードマチック
僕が子供の頃、大人が身に着けているのを見て”かっこいいなあ”と憧れた
時計だ。
当時、腕時計は入学祝の定番品だった。僕も中学の入学祝に晴れて親から腕時計を買ってもらえる事になり時計屋さんに行ったものの、その時選んだのはなぜか当時最新式だったデジタル式腕時計。
液晶画面に映し出されるデジタルの数字がとても近代的に見えたんだなぁ。

タバコを吸う、酒を飲む..これが出来る様になると大人の仲間入り、みたいな事柄はいくつかあるけれど、この「腕に時計を着ける」という”儀式”が大人への第一歩だとなぜか強く感じていたあの頃の自分を鮮明に覚えている。因みにタバコと酒はもうちょっとだけ後になってから嗜んだ (笑

去年の暮、縁あって僕のところにやってきた当時の名機「セイコーロードマチック」
残念ながら調子が思わしくなかったのでこの手のモノに詳しいT氏に相談し、ご紹介頂いた修理名人の下で見事元気に甦ってくれた。

時計も古くなれば時計職人も高齢化が進むというのが世の無常。地元でこの手の古い時計を直せるのはもうこの人位しか見当たらないという。同じ時代に生まれ一緒に時を刻み続けてきたモノへの愛着もあり、これからも大切に使っていきたい。

そしてうちの子が大人になったらこの時計を渡そうと思っている。
「こんな古臭いのいらんわ」と言われそうだけど。。